船橋相続相談センターブログ|千葉県で相続の相談なら船橋相続相談センターへ

  1. HOME > 
  2. ブログ > 
  3. 相続時精算課税と暦年課税の違い|生前贈与で110万円だけを見ない判断方法

相続時精算課税と暦年課税の違い|生前贈与で110万円だけを見ない判断方法 | 船橋相続相談センター

相続時精算課税と暦年課税の違い|生前贈与で110万円だけを見ない判断方法 | 船橋相続相談センター

相続時精算課税と暦年課税の違い|生前贈与で110万円だけを見ない判断方法

2026年08月27日

カテゴリ:生前対策

子や孫への生前贈与を考えるとき、「毎年110万円までなら税金がかからない」「相続時精算課税なら2,500万円まで贈与できる」といった金額だけが注目されがちです。

しかし、暦年課税と相続時精算課税は、贈与時の税額だけでなく、贈与者が亡くなったときの相続税計算や必要な届出、将来の変更可否が異なります。

相続時精算課税には2024年(令和6年)から年110万円の基礎控除が設けられましたが、「110万円以下ならどちらを選んでも同じ」ということではありません。

この記事では、両制度の仕組みと選択前の確認事項を整理します。

贈与税には2つの課税方法がある

個人から財産の贈与を受けた場合の贈与税には、暦年課税と相続時精算課税の2つの課税方法があります。

暦年課税は、1月1日から12月31日までの1年間に受けた贈与の合計額を基に計算する一般的な方法です。

相続時精算課税は、一定の父母・祖父母等から子・孫等への贈与について選択でき、贈与時と相続時を通じて税額を精算する制度です。

どちらが有利かは、贈与額だけでは決まりません。贈与する人の年齢と健康状態、財産総額、相続税の見込み、贈与する財産の種類、値上がり・値下がりの可能性、受贈者間の公平性などを確認する必要があります。

暦年課税の基本

暦年課税では、受贈者が1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除110万円を差し引いて贈与税を計算します。

この110万円は、贈与者ごとではなく受贈者ごとの年間合計です。例えば、同じ年に父から80万円、母から80万円を受け取った場合、合計160万円から110万円を控除した残額が課税対象になります。

基礎控除を超える場合は、贈与を受けた人が翌年に贈与税の申告と納付を行います。税率は、贈与者と受贈者の関係や年齢、課税価格により異なります。

相続前の贈与が相続税へ加算される場合

暦年課税による贈与であっても、贈与者が亡くなったときに一定期間内の贈与財産が相続税の課税価格へ加算されることがあります。

2024年1月1日以後の暦年課税による贈与については、加算対象期間が段階的に相続開始前7年以内へ延長されます。

具体的には、相続開始日によって次のように変わります。

  • 2026年12月31日までに相続開始:相続開始前3年以内
  • 2027年1月1日から2030年12月31日までに相続開始:2024年1月1日から相続開始日まで
  • 2031年1月1日以後に相続開始:相続開始前7年以内

延長された期間に対応する贈与については、総額100万円まで加算対象外となる取扱いがあります。ただし、誰から誰への贈与か、相続・遺贈で財産を取得したかなどにより判定が変わるため、具体的な計算は税理士または税務署へ確認してください。

「毎年110万円以下だから、相続税にも一切関係しない」とは限らない点が重要です。

相続時精算課税の基本

相続時精算課税は、原則として贈与年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母等から、18歳以上の推定相続人である子または孫等への贈与について選択できる制度です。

贈与者ごとに選択できるため、例えば父からの贈与は相続時精算課税、母からの贈与は暦年課税とすることも考えられます。

一方、特定の贈与者について相続時精算課税を一度選択すると、その贈与者から受ける以後の贈与について暦年課税へ変更することはできません。

年110万円の基礎控除

2024年1月1日以後の贈与から、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられました。

相続時精算課税では、年110万円の基礎控除と、累計2,500万円の特別控除を差し引き、残額に一律20%を乗じて贈与税を計算します。

年110万円の基礎控除部分は2,500万円の特別控除を消費せず、原則として贈与者の死亡時に相続税の課税価格へ加算されません。

ただし、同じ年に相続時精算課税を選択した複数の贈与者から贈与を受けた場合、110万円が贈与者ごとに使えるわけではなく、各贈与額に応じて按分します。

累計2,500万円の特別控除

年110万円を超える部分については、贈与者ごとに累計2,500万円までの特別控除を利用できます。

これは「2,500万円まで完全に非課税になる」という意味ではありません。特別控除を使って贈与時の税負担が生じなかった財産も、贈与者が亡くなった際には、原則として贈与時の価額を相続財産へ加えて相続税を計算します。

相続時精算課税を選択した場合、贈与者の死亡時には、年110万円の基礎控除後の贈与財産と相続財産を合計して相続税を計算します。既に納めた贈与税があれば、一定の方法で相続税額から控除します。

2つの制度を比較する視点

1.相続税がかかる見込み

最初に、現在の財産総額と将来増える・減る可能性を確認します。

預貯金、不動産、有価証券、生命保険、事業用資産、借入金などを一覧にし、相続税の基礎控除や利用可能な特例を考慮した概算が必要です。

相続税がかからない見込みでも、財産の分け方や生活資金、認知症対策という面で贈与が有効な場合があります。反対に、贈与税がかからないことだけを理由に資金を移すと、贈与者の老後資金が不足するおそれがあります。

2.贈与する財産の将来価値

相続時精算課税では、原則として贈与時の価額を基に相続税へ加算します。そのため、将来値上がりが見込まれる財産では、贈与時の価額で固定される効果が生じる可能性があります。

一方、贈与後に価値が下がった場合や財産を失った場合でも、原則として贈与時の価額が基準となるため、不利になる可能性があります。

上場株式、収益不動産、自社株など価格変動のある資産は、期待収益だけでなく下落リスク、換金性、維持費、管理能力も検討します。

3.誰に、どの財産を承継させたいか

収益不動産を管理できる子へ早めに移す、事業承継のため自社株を後継者へ渡す、住宅取得資金を必要な時期に援助するなど、贈与には税金以外の目的があります。

ただし、特定の子だけに多額の贈与をすると、将来の遺産分割や遺留分をめぐる不満につながる可能性があります。贈与契約書、送金記録、評価資料を残し、他の相続人への説明方針も考えておきましょう。

4.贈与者の生活資金を確保できるか

財産を一度贈与すると、原則として受贈者の財産になります。介護費、医療費、老人ホーム費用、自宅修繕費など、贈与者本人に今後必要となる資金を先に確保します。

不動産を贈与した後も賃料を生活費として使うつもりだった、という行き違いが起きないよう、所有権と収益の帰属を明確にします。

5.不動産特有の費用と税務

不動産の生前贈与では、贈与税だけでなく、登録免許税、不動産取得税、司法書士費用などが生じる可能性があります。また、将来売却した場合の取得費や所有期間は、贈与者から引き継ぐのが原則です。

相続で取得する場合との費用差、収益の移転効果、将来の売却税負担まで比較しなければなりません。不動産評価、登記、税務は、それぞれの専門家へ事前に確認してください。

相続時精算課税の届出を忘れない

相続時精算課税は、要件を満たせば自動的に適用される制度ではありません。

選択する場合は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を必要書類とともに提出します。

年110万円以下の贈与で贈与税申告書の提出が不要となる場合でも、相続時精算課税を初めて選択する年には届出が必要です。

届出期限を過ぎた場合や必要書類が不足した場合、想定していた制度を利用できない可能性があります。贈与を実行してから考えるのではなく、契約・送金・登記の前に手続と期限を確認しましょう。

生前贈与を始める前の確認資料

  • 贈与者と受贈者の戸籍・続柄
  • 贈与者の年齢と健康状態
  • 預貯金、不動産、有価証券、保険等の財産一覧
  • 借入金、保証債務等の一覧
  • 過去の贈与額、贈与税申告書、贈与契約書
  • 相続時精算課税を既に選択していないか
  • 不動産の固定資産税課税明細、登記事項証明書、収支資料
  • 贈与後に必要となる生活費・介護費の見込み
  • 推定相続人と遺留分の確認

これらを整理すると、「今年いくら贈与できるか」ではなく、「どの財産を、誰へ、いつ、どの制度で移すべきか」を比較しやすくなります。

まとめ|110万円ではなく資産承継全体で選ぶ

暦年課税と相続時精算課税には、いずれも110万円の基礎控除があります。しかし、相続時の加算方法、2,500万円の特別控除、届出、一度選択した後の変更可否などに大きな違いがあります。

生前贈与は、贈与税を減らすことだけが目的ではありません。老後資金を守りながら、財産を管理できる人へ適切な時期に承継し、将来の遺産分割や納税資金を整えることが大切です。

船橋・津田沼相続相談センターでは、代表の高原が、特定行政書士として相続人や財産関係、遺産分割に必要な事項を整理し、必要に応じて税理士・司法書士等の専門家と連携して対応します。

また、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、CPM(米国不動産経営管理士)、CCIM(米国不動産投資顧問)としての専門知識と、不動産会社経営および相続・不動産コンサルティングの実務経験を生かして対応します。単に現在の市場価格を査定するだけでなく、CPM・CCIMの知識と分析手法を用いて、収益性、投資価値、キャッシュフロー、修繕・管理負担、将来性などを分析し、保有、改善、資産の組み換え、売却の各選択肢を総合的に比較します。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、生前贈与や不動産の承継方法にお悩みの方は、贈与を実行する前に、財産全体とご家族の希望を整理してみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な制度と検討方法を説明するものです。贈与税・相続税の試算や申告は税理士・税務署、不動産登記は司法書士・法務局、遺留分その他の法律判断や紛争は弁護士へご確認ください。

参考資料