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相続したマンションをどうする?管理費・修繕積立金から考える4つの選択肢 | 船橋相続相談センター

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相続したマンションをどうする?管理費・修繕積立金から考える4つの選択肢

2026年09月02日

カテゴリ:共有不動産 相続不動産 空き家

分譲マンションを相続したときは、室内の状態や売却査定額だけで判断できません。所有している間は、利用していなくても管理費や修繕積立金、固定資産税などの負担が続きます。

また、マンションは専有部分だけでなく、管理組合の運営、共用部分の修繕、管理規約、他の区分所有者との関係によって、利用方法や将来価値が左右されます。

この記事では、相続したマンションについて、住む、貸す、当面保有する、売却するという4つの選択肢を比較する前に確認したい事項を、実務の順番で整理します。

最初に管理会社・管理組合へ確認する

相続後は、室内の鍵や郵便物を確認するとともに、管理会社または管理組合へ連絡します。所有者変更の届出方法、毎月の請求額、引落口座、総会資料の送付先などを確認しましょう。

特に確認したいのは次の項目です。

  • 管理費と修繕積立金の月額
  • 駐車場・駐輪場・専用庭等の使用料
  • 滞納の有無と金額
  • 管理組合への所有者変更届、連絡先届
  • 火災保険・地震保険の契約状況
  • 電気、ガス、水道、インターネット等の契約
  • 賃借人や使用者の有無
  • 直近の総会・理事会で決まった工事や負担

口座凍結や請求先変更により、被相続人の死亡後に引落しが止まっていることがあります。遺産分割が終わるまで待つのではなく、未払額と今後の支払方法を早めに確認することが大切です。

相続登記と管理組合への届出は別の手続

管理組合へ所有者変更を届けても、不動産の名義が自動的に変わるわけではありません。

相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が原則です。正当な理由なく申請義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

遺産分割が期限内にまとまらない場合は、相続人申告登記を利用できることがあります。ただし、最終的な取得者を確定する登記ではありません。具体的な登記手続は司法書士または法務局へ確認してください。

分譲マンションでは、専有部分と敷地権が一体となっていることが多いものの、古いマンションなどでは土地の持分が別に登記されている場合もあります。登記事項証明書で、建物と土地の権利関係を確認しましょう。

管理費・修繕積立金を「今の月額」だけで見ない

管理費は、共用部分の清掃、設備点検、管理委託など日常的な管理に使われます。修繕積立金は、外壁、屋上防水、給排水管、エレベーターなどの計画修繕に備える資金です。

月額が低ければ負担が軽いように見えますが、積立不足であれば、将来の値上げ、一時金、借入れが検討される可能性があります。反対に、月額が高くても、適切な長期修繕計画に基づき必要額を積み立てている場合があります。

国土交通省は、2024年6月に長期修繕計画作成ガイドラインと修繕積立金ガイドラインを改定し、段階増額積立方式における引上げ幅などの考え方を示しました。

相続した住戸については、次の資料を確認します。

  • 最新の長期修繕計画
  • 修繕積立金の残高と住戸当たりの負担
  • 直近3年程度の総会議案書・議事録
  • 管理組合の収支決算書・予算書
  • 管理費等の滞納状況
  • 大規模修繕工事の実施履歴と次回予定
  • 積立金の値上げ、一時金、借入れの予定
  • 機械式駐車場、エレベーター、給排水管等の更新予定

大規模修繕の直前だから直ちに売却すべき、あるいは工事後なら必ず価格が上がる、とは限りません。建物の状態、工事内容、資金計画、地域の中古需要を併せて判断します。

管理規約と使用細則で利用制限を確認する

マンションを貸す、リフォームする、事務所として使うなどの計画があっても、自由に実行できるとは限りません。

国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)は、専有部分の用途、管理費等、修繕積立金、専有部分の修繕、駐車場使用などに関する規約の標準例を示しています。実際に適用されるのは、そのマンション固有の管理規約と使用細則です。

次の事項を確認しましょう。

  • 賃貸する場合の届出、借主の誓約書
  • 民泊、事務所利用、店舗利用の制限
  • ペット飼育の条件
  • 床材変更、水回り移設、窓・玄関扉等の工事制限
  • 工事申請の期限と必要書類
  • 駐車場・駐輪場の承継可否
  • 専有部分と共用部分の区分

「親が使えていた駐車場を相続人もそのまま使える」「所有者なら自由に賃貸できる」と思い込まず、管理組合へ書面で確認することが安全です。

売却価格だけでなく管理状態も確認する

中古マンションの価値は、駅距離、階数、方角、広さ、室内状態だけでなく、建物全体の維持管理にも影響を受けます。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、実際の不動産取引価格や地価、防災情報等を確認できます。ただし、同じ棟でも階数、向き、眺望、リフォーム履歴等によって価格は異なります。公的データは相場把握の一材料とし、個別住戸は複数の成約事例や現地調査を踏まえて確認します。

管理面では、次の点も見ておきます。

  • 共用廊下、外壁、屋上、エントランスの状態
  • 漏水、給排水管、設備故障等の履歴
  • 耐震性、建築時期、修繕履歴
  • 管理員の勤務形態と管理会社との契約
  • 総会の開催状況、役員の担い手、議案の停滞
  • 管理費等の滞納や管理組合の訴訟の有無
  • ハザードマップ上の浸水・液状化等のリスク

船橋市、習志野市、千葉市の湾岸部を含むマンションでは、駅距離や生活利便性に加え、地域ごとの災害リスクと建物の対策を個別に確認します。

4つの選択肢を比較する

1.相続人が住む

自宅として使えば、空室のまま維持する負担を避けられます。ただし、通勤、家族構成、将来の住み替え、管理費等の継続負担、室内リフォーム費を考慮します。

複数の相続人がいる場合は、誰が取得するか、他の相続人へ代償金を支払うかを検討します。代償金を市場価格で考えるのか、別の評価基準を使うのかも明確にします。

2.第三者へ貸す

賃貸には家賃収入を得られる利点がありますが、家賃全額が手元に残るわけではありません。

管理費、修繕積立金、固定資産税、保険料、賃貸管理料、室内修繕、設備交換、原状回復、空室期間を差し引き、実質的な手取りを試算します。将来の大規模修繕に伴う積立金増額や一時金も想定しておきます。

また、借主がいる状態で売却する場合は、自己居住用として売る場合と買主層や価格形成が異なる可能性があります。賃貸期間と将来の出口を一緒に検討しましょう。

3.当面保有する

遺産分割や家族の方針が定まるまで保有する選択肢もあります。ただし、空室でも毎月の費用が発生し、換気、通水、郵便物、漏水、設備故障への対応が必要です。

「将来使うかもしれない」という理由だけで期限を決めずに保有すると、負担が積み上がります。半年後や1年後など再検討の時期を決め、費用と管理状況を記録します。

4.売却して分ける・資産を組み換える

売却により現金化すると、複数の相続人で分けやすくなり、管理負担を終えられます。一方、仲介手数料、抵当権抹消、室内残置物、譲渡所得税などを考慮する必要があります。

査定価格ではなく、売却費用、税金、借入残高等を差し引いた手取り額で比較します。収益性が低いマンションを売却して、生活資金や納税資金を確保する、管理しやすい資産へ組み換えるという考え方もありますが、売却ありきにはせず、保有・賃貸との違いを数字で確認します。

賃貸収支と保有負担を数字にする

判断前に、少なくとも次の2つを作成すると比較しやすくなります。

年間保有コスト

管理費・修繕積立金・固定資産税・保険料・室内管理費・交通費・小修繕費を合計します。将来予定される値上げや一時金があれば、年換算して別に表示します。

年間賃貸キャッシュフロー

想定家賃から空室損、賃貸管理料、管理費、修繕積立金、税金、保険、室内修繕・設備交換費を差し引きます。表面家賃だけでなく、実際に残る金額を確認します。

さらに、現在の市場価格に対して手取り収益がどの程度か、今後10年程度の修繕負担を含めても保有する合理性があるかを検討します。

判断前にそろえたい資料

  1. 登記事項証明書、固定資産税課税明細
  2. 管理規約、使用細則、管理委託契約の概要
  3. 長期修繕計画、修繕履歴
  4. 総会議案書・議事録、決算書・予算書
  5. 管理費・修繕積立金等の請求書と滞納確認書類
  6. 購入時の売買契約書、領収書、リフォーム資料
  7. 火災保険・地震保険の証券
  8. 賃貸中なら賃貸借契約書、入金・修繕履歴
  9. 室内設備と残置物の一覧
  10. 売却査定、想定家賃、各選択肢の収支表

書類が見つからない場合は、管理会社、管理組合、法務局、市区町村、仲介会社等へ確認します。取得費資料がない場合の税務上の取扱いは、税理士または税務署へ相談してください。

まとめ|専有部分とマンション全体の両方を見る

相続したマンションをどうするかは、室内の状態や査定価格だけでは決まりません。管理費・修繕積立金、長期修繕計画、管理組合の財務、管理規約、賃貸収支、将来の工事負担まで確認して初めて、保有の実態が見えてきます。

住む、貸す、当面保有する、売却するという各選択肢について、家族の希望と手取り額、管理負担、将来性を同じ条件で比較することが重要です。

船橋・津田沼相続相談センターでは、代表の高原が、特定行政書士として相続人や財産関係、遺産分割に必要な事項を整理し、必要に応じて税理士・司法書士等の専門家と連携して対応します。

また、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、CPM(米国不動産経営管理士)、CCIM(米国不動産投資顧問)としての専門知識と、不動産会社経営および相続・不動産コンサルティングの実務経験を生かして対応します。単に現在の市場価格を査定するだけでなく、CPM・CCIMの知識と分析手法を用いて、管理費・修繕積立金、賃貸収益、キャッシュフロー、将来の大規模修繕、管理負担などを分析し、居住、賃貸、保有、資産の組み換え、売却の各選択肢を総合的に比較します。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、相続した分譲マンションの扱いにお悩みの方は、遺産分割や売却を決める前に、管理組合資料と収支を整理してみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な制度と検討方法を説明するものです。相続税・譲渡所得税等は税理士・税務署、相続登記は司法書士・法務局、管理規約や区分所有関係の法律判断・紛争は弁護士、建物・設備の技術的判断は建築士やマンション管理士等へご確認ください。


参考資料