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相続不動産の取得費が分からないとき|売却代金の5%にする前の資料探し | 船橋相続相談センター

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相続不動産の取得費が分からないとき|売却代金の5%にする前の資料探し

2026年08月25日

カテゴリ:不動産売却 納税資金対策

親から相続した土地や実家を売却しようとしたとき、「何十年も前の不動産なので、いくらで買ったのか分からない」ということがあります。

取得費が分からないまま売却価格だけを比較しても、税金や最終的な手取り額は正確に見込みにくくなります。売却を急ぐ前に、被相続人が不動産を取得した経緯と、当時の資料が残っていないかを確認することが大切です。

この記事では、相続不動産の取得費の基本、概算取得費5%の考え方、探したい資料、取得費加算の特例、保有・活用・組み換え・売却を比較する際の視点を整理します。

不動産の譲渡所得は「売却代金-取得費-譲渡費用」が基本

土地や建物を売ったときの税金は、売却代金そのものではなく、売却によって生じた利益を基に計算します。

土地・建物の譲渡所得は、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算するのが基本です。特別控除を利用できる場合は、さらにその控除額を差し引きます。

譲渡所得=売却代金-(取得費+譲渡費用)-適用できる特別控除

取得費が大きければ譲渡所得は小さくなり、取得費が小さければ譲渡所得は大きくなります。そのため、売却前に取得費を確認することは、税額と手取り額を検討するうえで重要です。

実際の税額は、所有期間、建物の減価償却、利用できる特例などによって変わるため、税理士または税務署へ確認してください。

相続税評価額が取得費になるわけではない

相続した不動産について、相続税申告で使用した評価額や固定資産税評価額を、そのまま売却時の取得費にできると考える方もいます。

しかし、原則として、相続により不動産を取得した場合は、被相続人の取得費と取得時期を相続人が引き継ぎます。相続時の時価や相続税評価額へ置き換わるわけではありません。

例えば、父が昭和の時代に購入した土地を子が相続して売る場合、父が購入したときの代金等を基に取得費を確認します。所有期間についても、原則として父の取得時期から引き継いで長期・短期を判定します。

相続税の資料、固定資産税の課税明細書、登記事項証明書は、物件や相続関係を確認する重要な資料です。ただし、それだけで被相続人が支払った購入代金を証明できるとは限りません。

取得費が分からない場合の「5%」とは

購入時の契約書や領収書が見つからず、取得費が分からない場合には、売却代金の5%相当額を概算取得費とすることができます。実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合も、5%相当額を取得費とすることができます。

例えば、土地・建物を4,000万円で売却し、取得費が不明なら、概算取得費は200万円です。

4,000万円×5%=200万円

仮に当時の実際の取得費が1,500万円だったとしても、資料がなく200万円を概算取得費とすれば、取得費だけで1,300万円の差が生じます。その分、他の条件が同じなら譲渡所得が大きくなる可能性があります。

ただし、古い不動産だから必ず5%にしなければならないわけではありません。まず資料を探し、取得の経緯を整理したうえで、どの資料と計算方法を用いることが適切か、税理士または税務署へ確認しましょう。

売却前に探したい取得費の資料

取得費の確認では、被相続人の自宅だけでなく、貸金庫、書類保管箱、旧住所の荷物、事業関係書類なども調べます。次のような資料が残っていないか確認しましょう。

1.購入時の売買契約書

土地・建物の購入代金、契約日、売主・買主、物件の表示などを確認できる中心的な資料です。契約書の一部しか残っていない場合も、他の資料と分けずに保管します。

2.領収書・精算書・仲介関係書類

売買代金の領収書、手付金・残代金の受領書、決済時の精算書、仲介手数料の領収書などを探します。

取得費には購入代金や建築代金、購入手数料のほか、一定の設備費・改良費などが含まれます。ただし、事業所得等の必要経費に既に算入した金額は、重ねて取得費にできない場合があります。

3.建築請負契約書・工事代金の領収書

注文住宅や賃貸建物であれば、建築請負契約書、追加工事契約書、設計・工事関係の領収書を確認します。

建物の取得費は、購入代金や建築代金等から、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。契約金額がそのまま売却時の取得費になるわけではありません。

4.通帳・振込記録・借入関係書類

購入時期の通帳、振込依頼書、住宅ローンや事業用融資の契約書、返済予定表などから、代金の支払いや取得時期を確認できることがあります。

金融機関に古い記録が残っているとは限らないため、売却を検討し始めた段階で照会可能な期間や手続きを確認します。

5.過去の確定申告書・決算書・減価償却明細

賃貸物件や事業用不動産では、確定申告書、青色申告決算書、減価償却資産台帳に、取得価額や取得年月が記載されている場合があります。

途中で増築・改修している場合は、当初の取得費と、その後の資本的支出を区別する必要があります。修繕費として既に必要経費へ算入した支出との重複にも注意が必要です。

6.購入当時のパンフレットや価格表

分譲時のパンフレット、価格表、申込書、間取り図、販売会社との書簡なども捨てずにまとめます。

これらだけで税務上の取得費が確定するとは限りませんが、取得経緯を説明する資料になり得ます。複数の資料をどのように評価するかは個別事情によるため、推測だけで金額を決めず、税理士・税務署へ確認してください。

「取得費」と「譲渡費用」を混同しない

取得費は、基本的に不動産を取得するためにかかった費用です。一方、譲渡費用は、その不動産を売るために直接かかった費用です。

譲渡費用には、売却の仲介手数料、売主が負担した印紙税、売却のための測量費、一定の立退料や取壊し費用などが含まれます。反対に、通常の修繕費、固定資産税、日常の維持管理費は、原則として譲渡費用にはなりません。

取得時の資料と売却時の資料は、次のように分けて保存すると整理しやすくなります。

資料区分 主な例 確認する目的
取得時 売買契約書、建築請負契約書、購入時の領収書 取得費の確認
保有中 改修契約書、減価償却明細、修繕記録 資本的支出・減価償却等の確認
売却時 仲介手数料、測量費、印紙代、一定の取壊し費用 譲渡費用の確認

税務上どの区分になるかは、名称ではなく支出の内容で判断されます。

相続税を納めている場合は取得費加算も確認する

相続税を納めた人が、相続または遺贈で取得した不動産を一定期間内に売却する場合、相続税額の一部を取得費に加算できる可能性があります。

取得費加算の特例は、相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡などが要件です。相続人全員が自動的に利用できる制度ではなく、財産を取得した人に相続税が課税されていることなどの要件があります。

また、加算できるのは支払った相続税の全額とは限りません。譲渡した財産ごとに計算し、他の特例と併用できない場合もあります。売買契約の時期を決める前に、税理士へ適用可否と期限を確認してください。

資料が見つかる前に売却を決めないための進め方

取得費の調査と売却方針は、次の順番で進めると整理しやすくなります。

  1. 相続人、遺言書、遺産分割の内容を確認する
  2. 登記事項証明書で所有者・持分・取得原因を確認する
  3. 被相続人の書類箱、貸金庫、旧居、事業書類を調べる
  4. 売買契約書、建築資料、領収書、申告書等を年代順に並べる
  5. 税理士に取得費、減価償却、特例を確認する
  6. 現在の市場価格と売却にかかる費用を確認する
  7. 税金・費用を引いた手取り見込額を試算する
  8. 保有・活用・組み換え・売却を家族で比較する

共有不動産では、誰が資料を保管しているか分からないこともあります。各相続人が持つ書類を持ち寄り、取得経緯を一本の時系列にまとめましょう。共有者間に意見対立や紛争がある場合は、弁護士への確認が必要です。

売却価格だけでなく手取り額と保有価値を比較する

取得費を確認する目的は、単に税金を少なく見せることではありません。売却後の手取り額をできるだけ現実的に把握し、保有を続けた場合と比較するためです。

保有する

自宅として利用する予定がある、賃貸収益が安定している、管理を引き継ぐ人がいる場合は、保有継続が選択肢になります。固定資産税、保険、修繕、空室、管理の負担を見込みます。

活用・収益改善する

賃貸条件や管理方法を見直す、用途を検討する、必要な改修を行うなど、売却せず改善できる場合があります。投資額を家賃収入で回収できるかを確認します。

資産を組み換える

管理負担が大きい、収益性が低い、共有で意思決定しにくい不動産を整理し、現預金や管理しやすい資産へ組み換える方法です。必ず次の不動産を購入する必要はありません。

売却する

利用予定がなく、維持費や将来修繕の負担が大きい場合は売却が選択肢になります。査定価格だけでなく、取得費、譲渡費用、税金、抵当権の残債などを差し引いた手取り額で比較します。

売却ありきにせず、家族の希望、資産状況、収益性、税負担、管理負担を一覧にすることが重要です。

まとめ|取得費の資料探しは売却査定と同時に始める

相続した土地・建物の取得費が分からない場合、売却代金の5%を概算取得費とする方法があります。しかし、5%を使う前に、被相続人の売買契約書、建築請負契約書、領収書、通帳、借入関係書類、過去の確定申告書等を確認することが大切です。

あわせて、次の点を整理しましょう。

  • 相続税評価額がそのまま取得費になるわけではない
  • 被相続人の取得費と取得時期を原則として引き継ぐ
  • 建物は減価償却費相当額を反映する
  • 取得費と譲渡費用を分けて資料を保存する
  • 相続税を納めた場合は取得費加算の期限を確認する
  • 売却価格ではなく税金・費用控除後の手取り額で比較する

船橋・津田沼相続相談センターでは、代表の高原が、特定行政書士として相続人や財産関係、遺産分割に必要な事項を整理し、必要に応じて税理士・司法書士等の専門家と連携して対応します。

また、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、CPM(米国不動産経営管理士)、CCIM(米国不動産投資顧問)としての専門知識と、不動産会社経営および相続・不動産コンサルティングの実務経験を生かして対応します。単に現在の市場価格を査定するだけでなく、CPM・CCIMの知識と分析手法を用いて、収益性、投資価値、キャッシュフロー、修繕・管理負担、将来性などを分析し、保有、改善、資産の組み換え、売却の各選択肢を総合的に比較します。

売却を前提とせず、ご家族の希望と資産全体のバランスを踏まえ、保有、活用、資産の組み換え、売却を中立的に比較します。取得費や譲渡所得、特例の判断は税理士、不動産登記は司法書士、共有者間の紛争等は弁護士など、必要に応じて各専門家と連携して進めます。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、古くから所有する相続不動産の売却や取得費の資料探しにお悩みの方は、査定と同時に、取得時から現在までの書類を整理することから始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な制度と検討方法を説明するものです。取得費、減価償却、譲渡費用、取得費加算その他の税務判断は税理士・税務署、不動産登記は司法書士・法務局、遺産分割や共有者間の紛争等の法律判断は弁護士へご確認ください。

参考資料