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相続不動産の売却手取りはいくら?査定価格から税金・費用を引く計算方法 | 船橋相続相談センター

相続不動産の売却手取りはいくら?査定価格から税金・費用を引く計算方法 | 船橋相続相談センター

相続不動産の売却手取りはいくら?査定価格から税金・費用を引く計算方法

2026年08月30日

カテゴリ:不動産売却 納税資金対策

相続した実家や賃貸物件の査定額を見て、「この金額を相続人で分けられる」と考えてしまうことがあります。

しかし、査定価格や売買代金と、最終的に手元へ残る金額は同じではありません。売却時には仲介手数料、測量・解体等の費用が生じる可能性があり、利益が出れば譲渡所得税等も考慮する必要があります。借入金が残っていれば、売却代金から返済することもあります。

遺産分割や納税資金の計画では、売却価格ではなく「税金・費用・返済額を差し引いた後の手取り額」を確認することが大切です。

売却手取りの基本式

売却手取りの概算は、次の順番で整理します。

売買代金-売却に伴う支出-借入返済額-譲渡所得税等=概算手取り額

売却に伴う支出には、物件ごとに次のようなものがあります。

  • 仲介手数料
  • 売買契約書の印紙税
  • 境界確定・測量費
  • 建物調査、残置物撤去、解体費
  • 登記関係費用
  • 借入金の繰上返済手数料
  • 売主が負担する補修・引渡準備費

すべての費用が税務上の「譲渡費用」になるとは限りません。現金の手取り計算と、譲渡所得の税額計算を分けて作成しましょう。

譲渡所得は売却代金全額に課税されるわけではない

土地や建物の譲渡所得は、売却による収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。一定の特別控除を利用できる場合は、さらにその控除額を差し引きます。

収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額

売買代金が5,000万円でも、5,000万円全額へ税率を掛けるわけではありません。一方、取得費を確認できない場合は課税対象となる利益が大きく見えることがあります。

相続税評価額や固定資産税評価額が取得費になるわけではない

相続した不動産を売却するとき、相続税評価額を取得費として使えると誤解されることがあります。

相続により取得した土地・建物の取得費と取得時期は、原則として被相続人が購入したときの購入代金等と取得時期を引き継ぎます。建物については、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。

そのため、次の資料を早めに探します。

  • 被相続人が購入したときの売買契約書・領収書
  • 建築請負契約書、工事代金の領収書
  • 仲介手数料、登記費用等の資料
  • 増改築・改良工事の契約書と領収書
  • 取得時期が分かる登記事項証明書等
  • 過去の確定申告書、減価償却明細

取得費資料が見つからない場合、国税庁は概算取得費の取扱いを案内していますが、利用前に古い通帳、住宅ローン資料、購入会社の記録なども調査しましょう。具体的な取得費の判定は税理士または税務署へ確認してください。

譲渡費用に含まれるもの・含まれないもの

譲渡費用は、仲介手数料、売買契約書の印紙代、売却のための測量費、一定の立退料、土地を売るために行った建物の取壊し費用など、売却のために直接要した費用です。

一方、固定資産税、日常的な修繕費、保有中の管理費などは、支払ったからといって当然に譲渡費用になるわけではありません。賃貸物件では、不動産所得の必要経費との区分も必要です。

手取り額の計算には実際の支出をすべて反映しつつ、税務上控除できる費用かどうかは別欄で整理すると分かりやすくなります。

長期譲渡か短期譲渡かを確認する

土地・建物の譲渡所得は、売却した年の1月1日現在の所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれ、税率が異なります。

売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として計算されます。相続した不動産は、原則として被相続人の取得時期を引き継ぐため、相続してから5年待たなければ長期にならない、ということではありません。

取得日が曖昧な古い不動産、買換えや贈与を経た不動産、建物を増改築している場合などは個別確認が必要です。

相続税の取得費加算を使える可能性

相続税を納めた人が、相続した不動産を一定期間内に売却する場合、相続税額の一部を取得費へ加算できることがあります。

取得費加算の特例は、相続・遺贈により取得し相続税が課税された財産を、相続開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡することなどが要件です。

特例を使うには、計算明細書等を添付した確定申告が必要です。相続した空き家の3,000万円特別控除など、同じ譲渡について併用できない制度もあるため、どの特例が有利かを売却前に比較します。

「相続税を支払ったから全額が取得費になる」「相続税申告期限から3年以内なら必ず使える」と単純に判断せず、税理士へ試算を依頼してください。

借入金と抵当権を確認する

賃貸物件や自宅に借入金が残っている場合、売却価格から残債と諸費用を差し引くと、想定より手取りが少なくなることがあります。

金融機関へ次の事項を確認します。

  • 売却予定時点の借入残高
  • 抵当権・根抵当権の内容
  • 一括返済の時期と手数料
  • 抵当権抹消に必要な書類と費用
  • 複数不動産を共同担保としていないか

売却代金だけでは残債を完済できない場合、自己資金の準備や金融機関との事前協議が必要です。査定依頼の段階で登記事項証明書と返済予定表を確認しましょう。

査定価格は一つの数字で決めつけない

不動産会社の査定価格は、必ずその金額で売れることを保証するものではありません。高い査定額でも売却期間が長期化し、価格調整が必要になる場合があります。

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格・成約価格、地価公示、都市計画、防災情報等を確認できます。公表情報と個別物件の条件を照らし、次の三つ程度のシナリオを作ります。

  • 早期売却を重視する価格
  • 標準的な期間で見込む価格
  • 時間をかけて上限を目指す価格

それぞれについて売却期間中の固定資産税、管理費、保険料、空室、修繕、草木管理等を反映し、最終手取りを比較します。

売却前・売却後に必要となる資金を分ける

売却代金は決済日に受け取りますが、それより前に支払いが必要な費用もあります。

売却前に必要になりやすい費用

  • 家財・残置物の撤去
  • 境界確定、測量、越境確認
  • 建物調査、修繕、解体
  • 相続登記、住所・氏名変更登記等
  • 共有者間の調整費用

売却後に備える費用

  • 譲渡所得税・住民税
  • 仲介手数料の残金
  • 抵当権抹消等の費用
  • 相続税や代償金など別途支払う資金

売却代金を遺産分割ですぐ全額分配すると、後から税金や費用を誰が負担するか問題になる可能性があります。概算税額と予備費を確保し、分配時期と精算方法を相続人間で明確にします。

売却手取り表の作り方

次の項目を一枚の表にすると、遺産分割や資産組み換えを検討しやすくなります。

  1. 想定売買代金
  2. 仲介手数料、印紙、登記関係費用
  3. 測量、残置物撤去、解体、補修費
  4. 売却までの固定資産税・管理費等
  5. 借入返済額と返済手数料
  6. 被相続人から引き継ぐ取得費
  7. 税務上の譲渡費用
  8. 利用できる可能性のある特別控除・取得費加算
  9. 譲渡所得税・住民税の概算
  10. 税引後の売却手取り

最低価格、標準価格、上限価格の三つで表を作り、売却期間と追加費用も変えて比較します。

保有・活用・組み換えも手取りと比較する

売却手取りが分かっても、直ちに売る必要はありません。

賃貸できる物件であれば、修繕後の家賃、空室、管理費、将来の大規模修繕、借入返済を反映したキャッシュフローを作ります。自宅として利用する場合は、住居費の軽減と維持管理費を確認します。

そして、売却して現金化する場合、管理しやすい資産へ組み換える場合、保有・改善する場合の将来価値を比較します。家族が不動産管理を続けられるか、共有状態が長期化しないかも重要な判断材料です。

まとめ|査定額ではなく税引後の手取りで遺産分割を考える

相続不動産の売却では、査定価格や売買代金だけを見ても、実際に残る金額は分かりません。

取得費、譲渡費用、税率、利用できる特例、借入残高、測量・解体等の支出を整理し、複数の売却価格と時期で手取りを試算することが大切です。そのうえで、保有、活用、資産の組み換え、売却を中立的に比較しましょう。

船橋・津田沼相続相談センターでは、代表の高原が、特定行政書士として相続人や財産関係、遺産分割に必要な事項を整理し、必要に応じて税理士・司法書士等の専門家と連携して対応します。

また、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、CPM(米国不動産経営管理士)、CCIM(米国不動産投資顧問)としての専門知識と、不動産会社経営および相続・不動産コンサルティングの実務経験を生かして対応します。単に現在の市場価格を査定するだけでなく、CPM・CCIMの知識と分析手法を用いて、売却費用、税引後手取り、収益性、キャッシュフロー、修繕・管理負担、将来性などを分析し、保有、活用、資産の組み換え、売却の各選択肢を総合的に比較します。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、相続した実家や賃貸物件の売却をお考えの方は、売出価格を決める前に、税金と費用を含む手取り額から整理してみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な制度と検討方法を説明するものです。相続税・譲渡所得税・特例の適用は税理士・税務署、相続・抵当権等の登記は司法書士・法務局、境界・測量・表示登記は土地家屋調査士、共有者間の紛争や契約上の法律判断は弁護士へご確認ください。

参考資料