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相続した賃貸不動産の収益診断|表面利回りだけで判断しない7つの確認項目 | 船橋相続相談センター

相続した賃貸不動産の収益診断|表面利回りだけで判断しない7つの確認項目 | 船橋相続相談センター

相続した賃貸不動産の収益診断|表面利回りだけで判断しない7つの確認項目

2026年08月24日

カテゴリ:収益改善 資産組換え

親からアパートや賃貸マンションを相続すると、「毎月家賃が入るのだから、持ち続けた方がよい」と考えがちです。

しかし、家賃収入があることと、安定した利益や手残りがあることは同じではありません。

空室、滞納、管理委託料、固定資産税、保険料、原状回復費、設備交換、大規模修繕、借入返済などを差し引くと、思ったほど現金が残っていない物件もあります。反対に、管理方法や募集条件を見直すことで、売却せず収益を改善できる物件もあります。

相続した賃貸不動産は、表面利回りだけで判断せず、「現在の収益」「将来の支出」「市場価値」「家族の希望」を一体で確認することが大切です。

表面利回りだけでは実際の手残りが分からない

一般的な表面利回りは、次のような計算で把握します。

年間の満室想定家賃 ÷ 物件価格 × 100

簡単に比較できる反面、空室や経費、借入返済を反映していません。また、相続した物件では購入価格を把握しにくく、「物件価格」に相続税評価額、帳簿価額、現在の市場価格のどれを使うかによって数字が変わります。

保有を続けるか判断する場合は、現在の市場価格を基準に、「この金額の資産を保有して、実際にいくら残っているか」を確認する方が実態に近くなります。

最初に作るべき年間収支表

税務上、不動産所得は「総収入金額-必要経費」で計算し、主な必要経費には固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などがあります

ただし、税務上の不動産所得と、実際に預金口座へ残る現金は一致しません。減価償却費は現金支出を伴わない一方、借入金の元金返済は現金が出ていっても必要経費にはなりません。

そこで、次の二種類の表を分けて作成します。

税務上の収支

  • 家賃、共益費、更新料等の収入
  • 固定資産税
  • 損害保険料
  • 管理委託料
  • 修繕費
  • 借入金利息
  • 減価償却費
  • その他の必要経費

現金収支

  • 実際に入金された家賃等
  • 管理、清掃、共用部電気等の支出
  • 税金、保険料
  • 原状回復、修繕、設備交換費
  • 借入金の元金と利息の返済
  • オーナーの手元に残った現金

どちらか一方だけでは、税負担と資金繰りを正しく把握しにくくなります。

収益診断で確認したい7つの項目

1.満室想定ではなく実際の入金額

まず、過去3年程度の家賃台帳と通帳を確認し、実際に入金された金額を集計します。

現在満室でも、入退去の間に空室期間があれば年間収入は減ります。滞納、フリーレント、募集時の値下げ、更新料の有無なども分けて確認しましょう。

満室想定家賃ではなく、実際の入金額を基準にすることで、物件の現状が見えやすくなります。

2.家賃が周辺相場と合っているか

長期間入居している部屋と新規募集の部屋では、家賃が異なることがあります。低すぎる家賃を一律に値上げすればよいわけではなく、入居継続による安定性も考慮しなければなりません。

間取り、築年数、駅距離、設備、階数等が近い募集物件と比較し、退去後に設定できる家賃を検討します。

3.毎年発生する運営費

固定資産税、火災・地震保険、管理委託料、清掃費、共用部電気・水道、消防設備点検、植栽管理などを年間で整理します。

少額の支出でも、毎月または毎年継続すれば収益へ影響します。管理会社からの月次報告だけでなく、固定資産税や保険料など、オーナーが直接支払っている費用も加えましょう。

4.原状回復費と突発修繕

給湯器、エアコン、水栓、インターホン、照明、ポンプ等は、複数の部屋で同時期に交換時期を迎える可能性があります。

過去の修繕履歴を一覧にし、1年当たりの平均額を確認します。直近1年に修繕がなかったからといって、将来も支出がないとは限りません。

税務上は、通常の維持管理や修理は修繕費となる一方、使用可能期間を延長したり資産価値を高めたりする支出は資本的支出として減価償却の対象になります。工事名だけでなく内容により判断されるため、具体的な処理は税理士へ確認してください。

5.大規模修繕の時期と金額

外壁、屋根、防水、鉄部塗装、給排水設備などは、まとまった支出になりやすい項目です。

建物調査や見積りを基に、今後10~15年程度の修繕予定を年ごとに並べます。仮に10年後に1,000万円の工事が見込まれるなら、単年度の収益だけでなく、毎年100万円を将来支出として確保する考え方も必要です。

修繕を先送りすると、入居率や家賃だけでなく、建物の安全性と売却価格へ影響する可能性があります。

6.借入返済後の手残り

物件に借入金が残っている場合は、金利、残存期間、毎月返済額、固定・変動金利の別を確認します。

家賃収入から経費を引いた段階では黒字でも、借入返済後の現金収支がほとんど残らない場合があります。反対に、借入完済が近い物件では、その後に手残りが増える可能性があります。

借入条件の変更や繰上返済を検討するときは、手元資金、納税資金、他の不動産の修繕費も含めて判断しましょう。

7.現在の市場価格と将来性

収益額だけでなく、現在売却した場合の市場価格も確認します。国土交通省の不動産情報ライブラリでは、取引価格・成約価格情報、地価公示、都市計画、防災、周辺施設等の情報を確認できます

ただし、公表情報だけで個別物件の価格が確定するわけではありません。接道、権利関係、入居状況、修繕履歴、建物状態、賃貸借契約、利回りなどを反映して査定します。

船橋市、習志野市、千葉市でも、駅距離や地域の賃貸需要、土地としての利用可能性によって将来性は異なります。

管理会社との契約内容も見直す

相続により賃貸物件を引き継いだ場合、被相続人が締結していた管理契約の内容を十分に把握していないことがあります。

管理業務の範囲、管理委託料、入居者募集、修繕発注、滞納対応、解約条件、報告頻度などを確認しましょう。

賃貸住宅管理業法では、一定の管理業者に対し、管理受託契約前の重要事項説明、家賃等の分別管理、管理業務の実施状況の定期報告などが定められています

管理会社を変更すれば必ず収益が改善するわけではありません。管理委託料だけでなく、入居率、募集力、修繕対応、報告内容、入居者対応を総合的に比較します。

「税務上の赤字」と「経営上の赤字」は違う

減価償却費が大きい時期には、現金が残っていても税務上は赤字になる場合があります。反対に、減価償却が少なくなると、現金の手残りに比べて課税所得が大きくなることもあります。

不動産所得の赤字は一定の場合に他の所得と損益通算できますが、土地取得に係る借入金利子相当部分など、損益通算の対象にならない金額があります

「赤字だから節税になる」という説明だけで判断せず、税務上の所得、実際の現金収支、将来修繕の三つを分けて確認しましょう。

保有・改善・組み換え・売却を比較する

収益診断の結果を基に、次の選択肢を比較します。

保有を続ける

安定した入居と手残りがあり、将来修繕の資金も準備できる場合は、保有継続が有力です。相続人が管理方針を理解し、連絡・判断できる体制も整えます。

管理と設備を改善する

募集条件、管理会社、共用部、設備、間取り等を見直して収益を改善します。改修費を家賃上昇や空室期間の短縮で回収できるか、事前に試算します。

資産を組み換える

収益性が低く、大規模修繕や管理負担が重い物件を整理し、管理しやすい資産へ組み換える方法です。必ず別の不動産を購入する必要はなく、納税・修繕資金として現預金を確保する方法も含まれます。

売却する

将来の支出に対して収益改善が難しい、家族に管理を引き継ぐ人がいない、共有者間で保有方針が合わない場合などは売却も選択肢になります。

ただし、売却には譲渡所得税、仲介手数料、測量・修繕等の費用が生じる可能性があります。売却価格ではなく、税金・費用を引いた手取り額で比較しましょう。

収益診断にそろえたい資料

  • 過去3年程度の確定申告書・青色申告決算書または収支内訳書
  • 家賃台帳、入金記録、滞納一覧
  • 賃貸借契約書、更新・退去の履歴
  • 管理委託契約書、管理会社の月次・定期報告
  • 固定資産税の課税明細書
  • 火災・地震保険の証券
  • 借入金の返済予定表
  • 修繕履歴、点検報告、工事見積書
  • 登記事項証明書、公図、測量図、建築関係資料
  • 現在の市場価格を検討するための査定資料

資料が足りない場合でも、分かる範囲から一覧にし、不明項目を明確にすることが第一歩です。

まとめ|家賃収入ではなく将来の手残りで判断する

相続した賃貸不動産は、現在家賃が入っているという理由だけで、保有継続を決めるべきではありません。

次の事項を一体で確認しましょう。

  • 実際の年間入金額と空室・滞納
  • 毎年の運営費と修繕費
  • 今後の大規模修繕
  • 借入返済後の現金収支
  • 税務上の所得と税負担
  • 現在の市場価格と地域の将来性
  • 家族が管理を続けられるか

船橋・津田沼相続相談センターでは、代表の高原が、特定行政書士として相続人や財産関係、遺産分割に必要な事項を整理し、必要に応じて税理士・司法書士等の専門家と連携して対応します。

また、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、CPM(米国不動産経営管理士)、CCIM(米国不動産投資顧問)としての専門知識と、不動産会社経営および相続・不動産コンサルティングの実務経験を生かして対応します。単に現在の市場価格を査定するだけでなく、CPM・CCIMの知識と分析手法を用いて、収益性、投資価値、キャッシュフロー、修繕・管理負担、将来性などを分析し、保有、改善、資産の組み換え、売却の各選択肢を総合的に比較します。

売却を前提とせず、ご家族の希望と資産全体のバランスを踏まえ、保有継続、管理・収益改善、資産の組み換え、売却を中立的に比較します。必要に応じて、税理士、司法書士、弁護士、建築士、土地家屋調査士等と連携して進めます。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、相続したアパートや賃貸物件を持ち続けるべきかお悩みの方は、まず年間収支表と将来修繕計画を作成してみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な収益診断と検討方法を説明するものです。不動産所得、修繕費・資本的支出、譲渡所得税等の税務判断は税理士・税務署、不動産登記は司法書士・法務局、賃貸借や共有者間の紛争等の法律判断は弁護士へご確認ください。

参考資料