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相続した空き家の3,000万円特別控除|売却前に確認すべき要件と手順 | 船橋相続相談センター

相続した空き家の3,000万円特別控除|売却前に確認すべき要件と手順 | 船橋相続相談センター

相続した空き家の3,000万円特別控除|売却前に確認すべき要件と手順

2026年08月23日

カテゴリ:相続不動産・空き家対策

親が一人で暮らしていた実家を相続したものの、相続人は別の場所に住んでおり、今後住む予定もない。このような空き家を売却するときに検討したいのが、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」です。

一定の要件を満たせば、空き家やその敷地を売却した際の譲渡所得から、原則として最高3,000万円を控除できます。

ただし、「相続した実家ならどの物件でも使える制度」ではありません。家屋の建築時期、同居人の有無、相続後の利用状況、売却時期、売却代金、耐震性や取壊しなど、多くの要件があります。

売買契約後に対象外と分かることを避けるため、売却方針を決める前に確認しておきましょう。

空き家の3,000万円特別控除とは

相続した空き家の特別控除は、2027年(令和9年)12月31日までの一定の譲渡を対象とし、譲渡所得から原則最高3,000万円を控除する制度です。

ただし、2024年(令和6年)1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除限度額は相続人一人につき2,000万円になります。

「売却代金から3,000万円を差し引く制度」ではなく、売却によって生じた譲渡所得から控除する制度です。譲渡所得が3,000万円未満なら、その譲渡所得が控除の限度になります。

実際の税額は取得費、譲渡費用、所有期間、他の特例との関係によって変わるため、売買契約前に税理士へ確認することが大切です。

対象となる家屋の主な要件

対象となる「被相続人居住用家屋」は、原則として次の要件をすべて満たす必要があります。

  • 相続開始の直前まで被相続人が居住していたこと
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されたこと
  • 区分所有建物登記がされた建物ではないこと
  • 相続開始の直前に、被相続人以外の居住者がいなかったこと

したがって、昭和56年6月1日以後に建てられた住宅や、一般的な分譲マンションの一室、親と子が同居していた住宅などは、原則として対象になりません。

建築年月日は固定資産税の課税明細だけで判断せず、登記事項証明書等で確認します。未登記建物や増築部分がある場合は、物件の表示と現況を早めに整理しましょう。

老人ホーム等へ入所していた場合

相続開始の直前に親が老人ホーム等へ入所しており、実家に住んでいなかった場合でも、直ちに対象外になるとは限りません。

要介護認定等を受けて老人ホーム等へ入所していた場合は、入所直前まで本人が居住していたことや、入所後に家屋を賃貸・事業利用していないことなど、一定の要件を満たせば対象となる可能性があります

入所時の要介護認定、施設の種類、電気・水道の使用状況、家財の保管状況などを確認する書類が必要になる場合があります。時間がたつと資料を集めにくくなるため、相続後の早い段階で保存資料を確認しましょう。

売却時期と売却代金の要件

特例を利用するには、次の二つの期限を確認する必要があります。

  • 制度上の適用期限である2027年(令和9年)12月31日までに売ること
  • 相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること

例えば、2024年8月に相続が開始した場合、相続から3年を経過する日は2027年8月です。その日の属する年の12月31日、つまり2027年12月31日までが期限になります。

また、売却代金は1億円以下であることが要件です。一体として利用していた敷地を分けて売った場合や、他の相続人が持分等を売った場合には、それらの売却代金も合算して判定されることがあります。

期限直前では、相続登記、家財撤去、測量、建物調査、耐震改修・解体、買主との条件調整、自治体の確認書取得が間に合わない可能性があります。売るかどうかを迷っている段階でも、期限だけは先に確認しておきましょう。

「耐震改修して売る」「解体して売る」の違い

旧耐震基準の家屋をそのまま売る場合、原則として譲渡時に一定の耐震基準を満たす必要があります。別の方法として、家屋を取り壊して敷地を売る方法があります。

2024年1月1日以後の譲渡については制度が拡充されました。売却後、譲渡した年の翌年2月15日までに買主が耐震改修または家屋の全部を取り壊した場合も、一定の要件の下で特例の対象になり得ます

これにより、売主が先に解体して更地で売る方法だけでなく、古家付きで売却し、買主側で解体する方法も検討しやすくなりました。

ただし、契約書で耐震改修・取壊しの期限や協力義務を明確にし、期限内に完了したことを証明する書類を取得する必要があります。買主の工事が遅れれば特例を利用できない可能性があるため、売買契約の条件設計は慎重に行いましょう。

相続後に一度でも貸すと対象外になる可能性

対象家屋や敷地は、原則として相続時から売却時まで、事業、貸付け、居住の用に使われていないことが求められます。

「売れるまで短期間だけ賃貸する」「親族に一時的に住んでもらう」といった利用により、特例の要件を満たさなくなる可能性があります。

空き家を賃貸すること自体が悪いわけではありません。賃貸による収益、改修費、将来の売却価格、管理負担を比較した結果、貸す方が適切な場合もあります。ただし、特別控除を利用する可能性があるなら、賃貸借契約を結ぶ前に税理士や税務署へ確認してください。

被相続人居住用家屋等確認書の取得

特例の適用には、確定申告書や譲渡所得の内訳書等とともに、家屋所在地の市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などを提出する必要があります。

船橋市内の家屋については、船橋市へ必要書類を添えて被相続人居住用家屋等確認書の交付を申請します。耐震性のある家屋を売った場合、売主または買主が耐震改修した場合、家屋を取り壊して売った場合などで必要書類が異なります。

確認書が発行されたからといって、税務上の特例適用が保証されるわけではありません。最終的な判断は税務署が行います。習志野市や千葉市の物件は、それぞれの市の担当窓口へ申請します。

取得費加算の特例とは併用できない

相続税を納めた人が相続財産を一定期間内に売却した場合、相続税額の一部を譲渡資産の取得費へ加算できる「取得費加算の特例」があります。

しかし、同じ不動産の譲渡について、空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例を併用することはできません。取得費加算の対象期間や計算方法を確認し、どちらが有利かを比較する必要があります。

取得費が不明な場合、相続税を多額に納めている場合、譲渡益が大きい場合などは結果が変わります。売却前に税理士へ試算を依頼しましょう。

売却だけでなく4つの選択肢を比較する

空き家の特別控除が使えるからといって、必ず売却する必要はありません。家族の希望、立地、建物状態、資金、管理負担を整理し、次の選択肢を比較します。

1.保有する

将来、相続人や子どもが住む可能性がある場合は、保有する選択があります。ただし、固定資産税、火災保険、庭木管理、換気、修繕、防犯などの費用と手間を見込みます。

2.活用する

賃貸住宅、事業用、地域利用などへ活用できる場合があります。改修費と想定賃料、空室リスク、管理委託費を確認し、収益性を検証します。特別控除との両立が難しい場合があるため、利用開始前の比較が重要です。

3.資産を組み換える

管理負担が大きく収益を生まない空き家を売却し、管理しやすい資産や収益性の見込める不動産へ組み換える方法もあります。購入を前提にせず、現金で保有する場合も含めて検討します。

4.売却する

今後利用する予定がなく、維持費や管理負担が続く場合は売却が選択肢になります。建物を残すか、耐震改修するか、解体するかによって、費用、売却価格、買主層、特例の手続きが変わります。

共有で相続している場合は、価格だけでなく、誰が売却手続きを担当するか、費用をどう負担するか、売却代金をどう分けるかも合意しておきましょう。意見対立や紛争がある場合は弁護士への相談が必要です。

売却を検討するときの実務的な順番

  1. 相続人と遺言書の有無を確認する
  2. 相続登記の状況と所有持分を確認する
  3. 建築年月日、登記、同居人、老人ホーム入所状況を確認する
  4. 相続後に賃貸・居住・事業利用していないか確認する
  5. 特例の売却期限を確認する
  6. 建物状態、耐震性、解体費、境界、残置物を調査する
  7. 現況のまま、耐震改修、解体の各売却条件を比較する
  8. 自治体の確認書に必要な資料を準備する
  9. 税理士に譲渡所得と特例の適用可能性を確認する
  10. 売買契約後の工事を条件とする場合は、期限と証明方法を契約書に明記する

まとめ|税制だけでなく空き家の将来を比較する

相続した空き家の3,000万円特別控除は、譲渡所得の負担を軽減できる可能性がある制度です。しかし、対象は昭和56年5月31日以前に建築された一定の家屋に限られ、売却期限、1億円以下の売却代金、相続後の未利用、耐震改修・取壊しなどの要件があります。

特例の可否だけで売却を急ぐのではなく、次の事項を整理しましょう。

  • 家族が今後利用する可能性
  • 建物の状態と修繕・耐震・解体費
  • 賃貸した場合の収益性と空室リスク
  • 固定資産税、防犯、庭木等の管理負担
  • 共有者の希望と費用負担
  • 売却価格と譲渡所得税
  • 特別控除と取得費加算の比較

船橋・津田沼相続相談センターでは、代表が特定行政書士として相続人・財産関係や手続きの全体像を整理するとともに、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、相続・不動産コンサルティング、不動産会社経営の経験を生かし、空き家の市場価格、建物状態、収益性、管理負担を確認します。

売却を前提とせず、保有、活用、資産の組み換え、売却を中立的に比較し、必要に応じて税理士、司法書士、弁護士、土地家屋調査士、建築士等と連携します。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で相続した実家や空き家の扱いにお悩みの方は、売却期限が迫る前に、物件と相続関係の確認から始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な制度と検討方法を説明するものです。特別控除、取得費、譲渡所得税等は税理士・税務署、不動産登記は司法書士・法務局、境界・表示登記は土地家屋調査士、共有者間の紛争等は弁護士へご確認ください。


参考資料