船橋相続相談センターブログ|千葉県で相続の相談なら船橋相続相談センターへ

  1. HOME > 
  2. ブログ > 
  3. 不動産を一人に相続させたいときの生前対策|遺留分と支払資金を確認

不動産を一人に相続させたいときの生前対策|遺留分と支払資金を確認 | 船橋相続相談センター

不動産を一人に相続させたいときの生前対策|遺留分と支払資金を確認 | 船橋相続相談センター

不動産を一人に相続させたいときの生前対策|遺留分と支払資金を確認

2026年08月17日

カテゴリ:生前対策

「同居している長男に自宅を残したい」

「賃貸経営を手伝っている子にアパートを引き継がせたい」

このような希望がある場合、遺言書を作成して取得者を指定することは有効な対策の一つです。

しかし、遺言書を作ればすべて解決するとは限りません。特定の相続人へ不動産を集中させた結果、ほかの相続人の遺留分を侵害すると、相続発生後に金銭の支払いを求められる可能性があります。

大切なのは、遺言書の文案だけを考えるのではなく、次の三つを一緒に確認することです。

  1. 誰に、どの不動産を引き継がせるか
  2. ほかの相続人の遺留分をどう確保するか
  3. 相続税や遺留分を支払う現金を用意できるか

遺留分とは

遺留分とは、一定の相続人に法律上確保されている最低限の取り分です。

民法では、兄弟姉妹以外の相続人について遺留分が定められています。したがって、配偶者や子などがいる場合、遺言によって一人へ全財産を相続させても、ほかの相続人から遺留分侵害額を請求される可能性があります。

現在の制度では、遺留分を侵害された相続人には、原則として不動産そのものの持分ではなく、侵害額に相当する金銭を請求する権利が生じます。

不動産の共有状態が直ちに発生しにくくなった一方、不動産を取得した相続人にとっては、金銭を用意できるかが重要になっています。

不動産が多く現金が少ない家庭は注意

例えば、相続財産の大部分が次のような不動産で構成されているケースを考えてみましょう。

  • 親が住んでいる自宅
  • 築年数が経過したアパート
  • 月極駐車場
  • 利用していない土地
  • 相続人同士で共有している土地

これらを特定の相続人へ集中して相続させても、預貯金が少なければ、遺留分侵害額や相続税を支払う資金が不足する可能性があります。

不動産を取得した相続人が支払いのために急いで売却しようとしても、建物の修繕、境界確認、残置物の整理、賃借人への対応などに時間がかかることがあります。

そのため、生前のうちに「資産額」だけでなく「相続時に動かせる現金」を確認することが重要です。

遺留分は相続税評価額だけで考えない

相続不動産には、複数の価格や評価があります。

  • 固定資産税評価額
  • 相続税評価額
  • 公示地価や基準地価
  • 不動産市場での売却見込額
  • 賃貸不動産としての収益価値

相続税評価額が低い不動産でも、実際の市場価格が高いことがあります。反対に、帳簿上は大きな資産でも、修繕費や管理費がかかり、希望する価格で売却できないこともあります。

遺留分の具体的な算定では、財産の範囲、生前贈与、債務、不動産の評価時点などについて法的判断が必要になる場合があります。

不動産が多い家庭では、相続税評価だけで結論を出さず、弁護士や税理士へ確認するとともに、不動産の現実的な市場価格も調査しておくことが大切です。

生前に確認したい6つの対策

1.財産と相続人を一覧にする

最初に、誰が相続人になるのかを確認し、次の財産を一覧にします。

  • 土地・建物
  • 預貯金
  • 株式や投資信託
  • 生命保険
  • 借入金
  • 親族への生前贈与
  • 事業用資産

不動産は所在地、登記名義、共有持分、利用状況、年間収支、借入残高も整理しましょう。

2.引き継ぐ人の意思と管理能力を確認する

親が「長男にアパートを残したい」と考えていても、長男が賃貸経営を希望しているとは限りません。

相続後には、入居者対応、修繕、借入金の返済、確定申告などが必要になります。

誰に何を残すかは、財産を渡す側の希望だけでなく、引き継ぐ側の生活状況や管理能力も踏まえて検討する必要があります。

3.遺留分に対応する現金を確保する

特定の相続人へ不動産を集中させる場合は、ほかの相続人へ渡す預貯金や生命保険金などを準備する方法が考えられます。

ただし、生命保険の契約内容や税務上の取扱いは、契約者、被保険者、受取人によって異なります。保険だけで対策を完結させず、税理士などへ確認してください。

4.収益性の低い不動産を整理する

複数の不動産がある場合は、それぞれについて次の選択肢を比較します。

  • 現状のまま保有する
  • 修繕して収益性を改善する
  • 用途を変更して活用する
  • 管理しやすい資産へ組み換える
  • 売却して現金化する

売却を急ぐ必要はありませんが、利用予定がなく、収益性が低く、将来の管理負担が大きい不動産については、生前に整理することで資産を分けやすくなる場合があります。

5.不動産を渡して支払う場合の税金に注意する

遺留分侵害額は、原則として金銭で支払うものです。

国税庁の公表事例では、金銭の支払いに代えて土地を移転した場合、土地による代物弁済として、土地を渡した側に譲渡所得課税が生じるとされています。

「現金がないので土地を渡せばよい」と安易に判断すると、別の税負担が発生する可能性があります。

実際に不動産で精算する場合は、合意する前に弁護士と税理士へ確認する必要があります。

6.財産診断後に遺言書を作成する

遺言書は、生前対策の出発点ではなく、財産診断と分割計画を具体化した結果として作成するのが望ましいでしょう。

検討する順番は次のとおりです。

  1. 財産と相続人を確認する
  2. 不動産の時価・収益性・管理負担を調べる
  3. 遺留分と相続税の概算を確認する
  4. 納税資金・遺留分の支払資金を準備する
  5. 誰に何を残すか決める
  6. 遺言書を作成する

公正証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度も選択肢になります。ただし、遺言書の形式を整えるだけでなく、内容がご家族と資産状況に合っているかが重要です。

遺留分侵害額請求には期間制限がある

民法では、遺留分侵害額請求権について、遺留分権利者が相続開始と遺留分を侵害する贈与・遺贈を知った時から1年間行使しない場合、時効によって消滅すると定めています。

また、相続開始から10年を経過した場合にも権利が消滅します。

もっとも、期間制限があるからといって、請求されない前提で遺言を作成することは適切ではありません。相続発生後の家族関係を考え、生前から説明と資金準備を行うことが大切です。

まとめ|遺言書と資金対策を一体で考える

不動産を特定の相続人に引き継がせたい場合は、遺言書を作成するだけでなく、遺留分と支払資金を確認しておく必要があります。

特に不動産の割合が高い家庭では、次の点を一体で検討しましょう。

  • 不動産の市場価格
  • 相続税評価額
  • 賃貸収入と維持費
  • 将来の修繕負担
  • 相続人それぞれの希望
  • 遺留分に対応する現金
  • 相続税の納税資金
  • 保有・活用・組み換え・売却の比較

船橋・津田沼相続相談センターでは、行政書士として相続人・財産関係や遺言書作成に必要な事項を整理するとともに、宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスターとして、不動産の時価、収益性、管理負担、活用・売却の可能性を確認します。

不動産売却を前提とせず、ご家族の希望と資産全体のバランスを整理し、必要に応じて弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士などと連携して対策を検討します。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、不動産の多い相続や遺留分対策についてお悩みの方は、早めに財産の棚卸しから始めてみてはいかがでしょうか。

※本記事は一般的な制度と検討方法を説明するものです。遺留分に関する法的判断や交渉は弁護士、相続税・譲渡所得税の判断は税理士・税務署、不動産登記は司法書士・法務局へご確認ください。