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親が認知症になる前に考える不動産の生前対策|任意後見でできること・できないこと | 船橋相続相談センター

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親が認知症になる前に考える不動産の生前対策|任意後見でできること・できないこと

2026年08月13日

カテゴリ:生前対策

「親が高齢になり、実家や賃貸物件を今後どう管理するのか心配になってきた」

このようなご相談では、相続が発生した後の遺産分割だけでなく、親御様が存命中に判断能力が低下した場合の備えも重要になります。

不動産を所有していると、固定資産税の支払いだけでなく、修繕、賃貸借契約、入居者対応、建物の建て替え、空き家管理、売却など、さまざまな判断が必要です。

しかし、家族だからという理由だけで、本人名義の不動産を自由に管理したり売却したりできるわけではありません。

そこで検討される制度の一つが「任意後見制度」です。

任意後見制度とは

任意後見制度は、本人に十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ自分が選んだ人へ生活、療養看護、財産管理などに関する事務を委託する制度です。

任意後見契約は公正証書によって締結します。

ただし、契約を作成しただけで任意後見人の権限が直ちに始まるわけではありません。本人の判断能力が不十分になった後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から契約の効力が生じます。

任意後見人は、家庭裁判所が選任した任意後見監督人の監督を受けながら、契約で定められた範囲の法律行為を本人に代わって行います。

詳しい制度の仕組みは、裁判所「任意後見制度の概要を知りたい方へ」でも確認できます。

任意後見契約を結べば、不動産を自由に売却できるのか

任意後見人に与えられるのは、任意後見契約で定められた代理権です。

したがって、任意後見契約を結んだからといって、任意後見人が本人の不動産を無条件で処分できるわけではありません。

どの不動産について、どのような場合に、どこまでの行為を任せるのかを契約内容に反映させる必要があります。

例えば、検討事項には次のようなものがあります。

  • 賃貸物件の管理や賃貸借契約
  • 修繕工事に関する契約と支払い
  • 固定資産税や管理費の支払い
  • 空き家となった実家の管理
  • 施設入所費や生活費を確保するための不動産売却
  • 売却に伴う測量、残置物処分、解体などの手続き

不動産売却を代理権の範囲に含める場合でも、実際の売却時には本人の利益を守る観点から、売却の必要性、価格の妥当性、売却代金の管理方法などを慎重に検討する必要があります。

また、自宅の処分や登記手続きなどについては、個別の状況に応じて家庭裁判所、司法書士、弁護士等への確認が必要です。

「誰に任せるか」だけでなく「何を残すか」を決めておく

任意後見の生前対策では、任意後見人となる人を決めることに意識が向きがちです。

しかし、不動産を所有している場合には、先に資産状況と本人の希望を整理することが大切です。

1.所有不動産を一覧にする

まずは実家、貸家、アパート、土地、山林、共有持分など、所有している不動産を確認します。

各不動産について、次の情報を一覧にしておくと、将来の管理方針を検討しやすくなります。

  • 所在地と登記名義
  • 共有者の有無
  • 現在の利用状況
  • 毎年の収入と支出
  • 借入金の残高
  • 修繕の必要性
  • 固定資産税や管理費
  • おおよその市場価値
  • 将来利用する家族の有無

2.保有する理由を確認する

不動産には、経済的な価値だけでなく、家族の思い出や先祖から受け継いだ土地という側面もあります。

一方で、「昔から所有しているから」という理由だけで残すと、将来、ご家族が管理や費用負担に困る可能性があります。

本人が元気なうちに、次のような希望を確認しておくことが重要です。

  • 実家を家族に残したいのか
  • 将来誰かが住む予定があるのか
  • 賃貸不動産を引き続き経営してほしいのか
  • 施設入所費や生活費が必要になったら売却してよいのか
  • 売却する場合、どの不動産から検討するのか

3.保有・活用・組み換え・売却を比較する

不動産の生前対策は、売却だけが答えではありません。

収益性や管理負担、建物の状態、家族の意向を踏まえ、次の選択肢を比較します。

  • 現状のまま保有する
  • 修繕や管理方法を改善する
  • 賃貸その他の方法で活用する
  • 管理しやすい資産へ組み換える
  • 将来の生活資金を確保するため売却する

例えば、収益が出ている賃貸物件でも、今後大規模修繕が必要になれば、実際に家族へ残せる収益は少なくなるかもしれません。

反対に、すぐに売却しなくても、管理会社や修繕計画を整理することで、安定した資産として引き継げる場合もあります。

任意後見だけで生前対策が完結するとは限らない

任意後見契約は、本人の判断能力が低下し、任意後見監督人が選任されてから効力が生じます。

そのため、本人に判断能力はあるものの、病気や身体上の理由で財産管理が難しくなった期間には、任意後見契約だけでは対応できない場合があります。

千葉家庭裁判所の手引では、通常の委任契約と任意後見契約を組み合わせる場合があることも説明されています。

また、任意後見人には、本人が行った行為について法定後見人と同じような包括的な取消権があるわけではありません。

したがって、生前対策では任意後見だけを単独で考えるのではなく、次の制度や準備との役割分担を検討します。

  • 財産管理等の委任契約
  • 遺言書
  • 民事信託
  • 生命保険
  • 不動産の共有状態の解消
  • 将来の修繕・管理資金の確保

どの制度が適するかは、本人の意思、家族関係、財産の種類、健康状態などによって異なります。契約内容については、公証人、弁護士、司法書士等の専門家への確認が必要です。

不動産の状況を確認してから契約内容を考える

不動産を含む任意後見契約では、法律上の契約書だけを先に作成するのではなく、不動産の実態を調べることが大切です。

例えば、次のような問題が隠れている場合があります。

  • 建物が未登記になっている
  • 親族との共有名義になっている
  • 境界が確定していない
  • 長期間更新されていない賃貸借契約がある
  • 修繕費が賃料収入を上回りそうである
  • 空き家の管理を担当する人が決まっていない

こうした問題を把握しないまま代理権の内容を決めても、実際に必要となる管理や処分に対応できない可能性があります。

行政書士として契約や相続手続きを見る視点と、宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスターとして不動産の収益性や市場性を見る視点を組み合わせることで、より現実的な生前対策を立てやすくなります。

まとめ|元気なうちに「将来の判断基準」を家族と共有する

任意後見制度は、将来の判断能力低下に備え、信頼できる人へ財産管理などを任せるための制度です。

ただし、任意後見契約を作成するだけでは、不動産に関する本人の希望が自動的に伝わるわけではありません。

まずは次の順番で整理しましょう。

  1. 所有不動産と収支を一覧にする
  2. 本人と家族の希望を確認する
  3. 保有・活用・組み換え・売却を比較する
  4. 将来必要となる代理行為を整理する
  5. 任意後見契約など適切な制度を専門家と検討する

船橋・津田沼相続相談センターでは、ご家族の状況と財産内容を確認し、相続手続きだけでなく、不動産の収益性、管理負担、将来の生活資金まで含めて課題を整理しています。

売却ありきではなく、残すべき不動産、改善できる不動産、組み換えや売却を検討する不動産を比較し、必要に応じて弁護士、司法書士、税理士、公証人等と連携して生前対策を進めます。

船橋市、習志野市、千葉市周辺で、親御様の不動産管理や将来の認知症対策が気になり始めた方は、判断能力が十分なうちに一度ご相談ください。

※本記事は一般的な制度の説明であり、個別の法律・税務判断を行うものではありません。任意後見契約や民事信託等の法的判断は弁護士・司法書士・公証人、登記は司法書士、税務判断は税理士・税務署へご確認ください。